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ソース・プリンシプル基本編【1】

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『ソース・プリンシプル』の基本編、第1弾。

「ソース・プリンシプル(Source Principles)」の実践書である『Work with Source』の著者であるトム・ニクソンさん(以下、トム)に、『ソース・プリンシプル』の基本的な内容について、恒例のインタビュー形式でお聴きしています。

第一弾では、「ソースとは?」「アイデアとイニシアチブとは?」について、恒例のインタビュー形式でお伝えしていきます。第二弾以降では、「ソースの役割とは?」、「クリエイティブフィールドとは?」「ソースとクリエイティブフィールドの関係」等について、NOLでの実践内容も含めながら、お伝えしていきます。

また、基本編の前に、「大前提シリーズ その1~3」も読んでいただき、スムーズに学びを進め、実践に活かしてもらえたらと思っています。

大前提シリーズ その1」では、「Sourceという言葉の意味」と「なぜ、Principleという言葉を選んだのか?なぜ、Theory(理論)という言葉ではなかったのか?」について記載しています。
(『ティール組織』と『ソース・プリンシプル』、『Work with Source』の関係性については、その1の記事をご参照下さい。

大前提シリーズその2」では、『Work with Source』やその土台となる考え方の「ソース・プリンシプル(Source Principles)」を学ぶ前に、読者の私たちが備えておくと良い「思考態度や姿勢」について記載しています。

大前提シリーズ その3」では、『Work with Source』のタイトルに著者のトムが込めた想いと、ソース・プリンシプルの考案者のピーター(Peter Koenig)による、「ソースという言葉の由来」について記載しています。

1.  「ソース」について

「ソース」が意味している内容の概略についてはこちらです。
大前提シリーズその1から抜粋しています。
下記を土台に、インタビューを楽しんでもらえたらです!

*ソースとは「”リスクを最初に取って、あるイニシアティブ**を始めた特定の個人“」を意味しています。特定の個人は2人以上ではなく、1人であるというところがポイントになります。経営文脈において、ソースは創業者である場合が多く、その際、イニシアチブは会社となります。また、ソースという考え方自体は、トム氏が学んだピーター氏(Peter Koenig)が、実際の企業を観察し続けた結果、考案した考え(ソース・プリンシプル)になります。

ただ、大前提として「すべての人は、生まれながらにして、ソースである」という、いのちの循環に基づく深い慈愛があり、「ソースは、特権階級のものではなく、世界のあらゆる場所にあり、富裕層から貧困層まで、あらゆる階層の人々がいる」という観方が不可欠となります。これらを見失うと、ソースの横暴や悪用に繋がっていくためです。

 

【言葉の意味①:イニシアチブ (Initiative)
**イニシアチブとは、「個人の心の中にある、世の中に何かを創造したり、世の中の何かに変化をもたらすようなアイデア***」(ビジョン)を実現することを目的とした継続的なプロセスのこと。

【言葉の意味②:アイデア (Idea)
***アイデアとは、「明確な始まりがなく、多くのインスピレーションや影響を受けて形作られるもの」を意味している。アイデアには、「こういう取り組みをやってみたい」というものから、日常的な場面での「昼食にこれを食べたい」といったものまで含まれている。

2. すべての人に備わっている「ソース」である普遍的な能力という表現に込めた想いは?1つ目の視点:「ソースが他の人よりも重要な存在であるという誤解」

史郎:トム、ここでは、「ソースとは?」について、補足的に聴かせてもらえたらと思っているよ。

トム:OK!

史郎:ありがとう。本の中に、「the universal capacity of all people to be sources. (すべての人に備わっている「ソース」である普遍的な能力)」という表現があるのだけど、ここについて、詳しく聴かせてもらってもいいですか? また、この表現の背景には、ひょっとしたら、「人は時に、ソースであると自覚することが難しい」ことについても、含みがありますか?

トム2つの側面から補足をしていくね。まず、1つ目の視点なんだけど、史郎が言うように、時々、「ソースであること」を自覚するのが難しいことがあるんだ。背景には、ソースという考え方「ソースである特定の1人が、他の人よりも重要であるとか、優れているとか、特別である」と誤解されていて、「ソースが他の人よりも重要な存在であるという誤解」があるように感じているよ。

史郎:なので、ソースと言われると、本人も「いやいや、そんな立派なものではないですよ。どう振舞えば良いのだろう?」と遠慮するような反応や、他の人からは「ソースなんだ、すごいね!」、極端な場合には、「ソースの言うことが絶対的に正しい」というような反応が意識的であれ、無意識的であれ、生じるのですね。

トム:そうなんだ。

史郎:なるほど。

トム:ただ、例えば、史郎と優子の「イニシアチブ」である循環畑について見てみると、このような誤解も溶けやすく、「すべての人にソースである普遍的な能力が備わっていること」の意味するところを掴んでもらいやすいと思うんだ。

史郎:うん、そう思います。

トム:以前に3人で、史郎と優子が共同で創業したNOL(株)でのイニシアチブを話し合った時、話し合いの探求プロセスを経て、優子が「循環畑(JUNKAN Field)」という最も根底にあるイニシアチブの「ソース」だった、ということが分かったじゃない?

史郎:うん、分かりました!とてもスッキリしました!

史郎:その時、確か「循環畑(JUNKAN Field)」というイニシアチブが始まった時点のことを、ゆうちゃんが思い出していたよね。

優子:そうだったね。あれは、兵庫の畑に居たときに、当時は「自然の畑」というような表現だったのだけど、野草・お野菜・虫などのいのちが土に還り、土が豊かになり、次のいのちが生まれているのをみて、いきなり、「あっ、『いのちの循環』、つまり、『循環(JUNKAN)』だ!」ってなったんだよね(笑)

トム:いいね!

史郎:そうそう、いきなりだったよね(笑)。

優子:でも、確かに、その時、何かが生まれて、「循環畑(JUNKAN Field)」というエネルギーが宿ったのを受け取った感じがしたよ。

トム:そうなんだ。イニシアチブとアイデアの違いになるのだけど、イニシアチブには、アイデアとは異なり、始まる瞬間があるんだ。アイデアは「可能性の領域」に存在しているのだけど、一方で、イニシアチブには、さっき、優子が話してくれたように、可能性の領域を出て、その一瞬後に、イニシアチブが始まる時点、つまりイニシアチブが取られた時点がある優子の場合だと、「循環畑(JUNKAN Field)」というイニシアチブだね。

トム:このイニシアチブが生まれる瞬間意識を向けると、ソース自身の中でエネルギー的な変化としか言いようのないものを感じることがあると思っているよ。

優子:確かに、感じました。

史郎僕も何か、湧き上がるものがありました。

トム:そうだったよね。そして、だからこそ、史郎は、優子の「循環畑(JUNKAN Field)」というイニシアチブに心が動き、今も活動を共にしているんだよね?

史郎:うん、そうです。僕みたいに、「循環畑(JUNKAN Field)」という最も大きなイニシアチブの中の特定のイニシアチブを行っている存在を、*スペシフィックソースと言うよね?
トム:うん、そうなんだ。

【言葉の意味③:スペシフィックソース (Specific Source)
*スペシフィックソースとは、「ソースが始めたイニシアチブに惹きつけられ、魅力を感じた人の中で、ソースの全体的なイニシアチブの中の特定のイニシアティブを、情熱をもって行っている人」のことを意味している。特定のイニシアチブのことを「サブイニシアチブ」と呼ぶ。スペシフィックソースは、ソースに従属するのではなく、自分自身の人生における天命を生きている。

 

トム:念のためだけど、僕が言う「ソース」には「スペシフィックソース」も含まれているよ。

史郎:うん、了解だよ。大切なポイントだよね。

トム:内容に戻るね。ここで、「史郎が、優子がソースであるイニシアチブのスペシフィックソースであること」は、史郎が優子に、重要性の面で劣っていることをもちろん意味していない当然だけど、個人としても劣っていないし、ソースとしても劣っていることはないんだ。ただ、「史郎が優子のイニシアチブのスペシフィックソースであること」は、この「優子がソースである『循環畑』というイニシアチブ」の文脈上での順番にすぎないんだ。ソースである優子が一番最初に、『循環畑』というイニシアチブを始めたという意味で。

史郎:うん、そうですよね。

トム:ただ、世間一般的には、通常の組織では、ある人がCEOになったりするよね。すると、他の人よりも事実として権力があるため、人間的にも重要であるというような錯覚が生まれてしまう。すると、他のメンバーが、CEOよりも、重要ではななくなってしまうという錯覚を生むと思うんだ。

史郎:そういう認識は、日本でも多勢を占めていると思いますし、僕自身も過去、メンバーからある組織のトップになった際に、そういう場面を経験しました。

トム:そうだよね。でも、「ソース」という考え方を実務で使うことに慣れてくると、優子が史郎よりも権力が大きいということは全く意味していないことに慣れてくるんだ。優子は、彼女がソースである「循環畑」というイニシアチブにおいて、ソースであるだけで、史郎も、このイニシアチブにおけるスペシフィックソースである以外に、他のイニシアチブのソースである可能性もあるんだ。史郎には選択する権利があるからね。人は複数のソースを体現できるんだ。つまり、ソースであること、スペシフィックソースであることは、権力の大小や重要性の大小について、何も言っていなくて、ただ、イニシアチブを始めた順番のことを言っているんだ。

トム:でも、先程、伝えたように、通常の組織の経験が色濃く存在しているため、ソースの考え方に混乱をしてしまい、誤解される方がいるのも事実なんだ。ソースの考え方を、「1人が他の人よりも、重要であるとか、優勢であるとか、特別である」と誤解をしてしまったまま、嫌いだと思われてしまうこともあるんだ。

史郎:誤解を招く可能性もあるのですね。

トム:そうなんだ。だから、「すべての人に備わっている『ソース』である普遍的な能力」については、丁寧に伝えたいと思っているんだ。

トム最初に特定のイニシアチブを始めたソースだけではなくて、そのイニシアチブに魅力を感じた、史郎のようなスペシフィックソースも、「誰もがソースであるという普遍的な能力」を発揮しているんだ。決して、スペシフィックソースの史郎がソースである優子に従属しているということではないんだ。このポイントを理解してもらえたら、「すべての人にソースである普遍的な能力が備わっていること」も伝わりやすくなると思っているんだ。

トム:後は、僕自身のスペシフィックソースとしての経験も伝えるね。さっき述べたようなソースの考え方のおかげで、友人がソースであるイニシアチブのスペシフィックソースを、僕がしていた時に、「ソースである友人よりも、僕が劣っているわけではなくて、ただ順番があるだけなんだ」と考えられるようになったんだ。その結果、友人がソースとして、イニシアチブ全体をホールドしてくれていることへの感謝も湧いたし、僕も彼女をスペシフィックソースとしてサポートしやすくなった経験があるんだ。

史郎:ソースという考え方で、ヘルシーに仕事ができるようになったのですね。ソース自身にも、スペシフィックソースが健全にソースとして行動できるようにサポートする配慮等が大切だと思いました。

トム:まさに、そうなんだ!

史郎:このことは、後で、「ソースとして大切にすると良い態度」についてお聴きしたいので、そこで聴かせてください。

トム:了解だよ。

トム:少し脱線するけど、昔、フレデリック・ラルーさんの『Reinventing Organizations(組織の再発明)(邦訳:ティール組織)』を学ぶ人たちの間では、ソースの考え方が誤って、「1人が他の人よりも、重要であるとか、優勢であるとか、特別である」と誤解されて、捉えられていることがあり、ソース・プリンシプルへの抵抗があったんだ。「1人が他の人より優れている」という考え方は嫌いだという、誤解に基づく反応があった。けど、フレデリックが彼の動画で「ソース」のことを伝えてくれて、ソース・プリンシプルへの見方が変わったことを感じた。次第に、受け入れられてくると思っているよ。

史郎:そうだったのですね。フレデリックとも話せて良かったです!

トム:以上が、「すべての人に備わっている『ソース』である普遍的な能力」について、補足的にお伝えしたい、1つ目の視点だよ。

史郎:トム、ありがとう!

3. 2つ目の視点:「ソースである準備が出来ていないだけで能力がないことではない」

トム2つ目の視点は、「ソースである準備がまだ十分でない場合もある」ということなんだ。それは、実は準備ができていないだけで、能力が無いということではないんだ。けれど、それを能力が無いと誤解される場合があるから、「能力が無いのではなくて、準備が出来ていないだけだよ」と強調しておきたいんだ。

トム:少し補足をするね。実は、誰もがソースであるということは、明らかに真実なんだ。とても小さなイニシアチブを見たら、このことを分かってもらえると思う。例えば、ランチタイムで、とてもお腹が減っているときに、わたし達は、自分のいのちのために、サンドイッチやヌードルを食べるというイニシアチブを選択するよね。これは、とても小さいことかもしれないけれど、確かに、イニシアチブをソースとして選択している状態なんだ。

でも、通常、ビジネスシーンや諸活動の場面で語られるのは、もっと、大きなイニシアチブについてなんだ。そこでは、ランチタイムのイニシアチブよりも、もっと多くの人と関わる必要があるし、多くのリスクが存在している。そのため、人によっては、まだ、そういった大きなイニシアチブについて、ソースである能力を発揮する準備が出来ていないこともあるということなんだ。このことは、決して、ソースである能力がないということではないんだ。

史郎:準備が出来ていない背景には、どんな構造的なものがあると思いますか?

トム:たぶん、背景には、学校のシステムとかがあると思っているよ。通常、先生や両親が、自分がこれから何をすべきかを言ってくれるからね。そこでは、指示をしっかりと聴く必要がある。そして、仕事を始めると、今度は自分の上司が指示を言ってくれるよね。

史郎:そうだね。

トムソースである際には誰かの指示を待つのではなく、時に勇気をもって、イニシアチブを表現したり、誰かに伝えてみたり、何かしら、動いていく必要があるんだ。だから、ソースであることは、みんなにとって、まだ準備が出来ていないことも、当然、あると思うんだ。でも、ソースである能力自体はみんなに備わっているんだ。たとえ、今、準備が出来ていなくてもね。そう考えている。

史郎:トム、ありがとうございます。トムがもっている、人に対しての愛を感じました。

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