今回は、『Work With Source』の著者であるトム・ニクソン氏が「イニシアティブの誕生とスペシフィックソース」「ソースとしての振舞いを支えるソースコンパス」、「ソースコンパス実践時の4つの振る舞い」について、「JUNKANグローバル探究コミュニティ」に来て、話してくれた内容をまとめています。
トムが実際に話している動画(日本語字幕付き)もありますので、ぜひ、動画の書き起こしの記事と一緒にお楽しみ頂けたらと思います!
トムの動画(日本語字幕付き)はこちら
トムの集約編【その4】の動画(日本語字幕付き)はこちらに、集約編【その5】の動画はこちらになります。ぜひ、記事と共に楽しんで頂けたらと思います。
イニシアティブはどうやって誕生するのか?
史郎:イニシアティブはどうやって生まれるのですか?
トム:では、新しいイニシアティブはどのように生まれるかを考えてみましょう。絵を見ていただくと、星が散らばっています。これは、人間が実現しうるあらゆる可能性の全てを現したものだと見てください。
アイデアということを考えてみると、実際には、どんなアイデアも、それだけで独自に始まったものは1つもないのです。どのアイデアも、それよりも前の何かからの影響を受けて、インスピレーションを受けて、連綿と後ろにつながっていることがあるんですね。
ある1つのアイデアを実際に現実のものにしていくプロセスには明確な始まりがあります。その始まり以前はただのアイデアです。ある時点からアイデアを実現し始めるシフトが起きます。
そのシフトはいつ起きるかというと、誰かが何かリスクを犯して、「アイデアを現実にするんだ、その一歩をするんだ、自分をそれに投じるんだ」と、そのリスクを取った時に始まります。
例えば、「これやりたいんだけど、一緒に手伝ってくれない?」とか「本当にコミットして、一緒にやろうよ!」と頼むような時です。
それが起きた時というのが、私が今、絵の中で丸を書いたようなことが起きます。それまでは全部が可能性の領域だったけど、そこから、これっていうエッジ(境界)ができる訳なんです。
エッジ(境界)が意味していることは、何かが丸の中に入り、外になるということです。つまり、この時、アイデアを現実にするためのプロセスである「クリエイティブフィールド」が出来たということなんです。
英語ではこれが起きた時のことを、イニシアティブをとるという言い方をします。日本語でその言い方が当てはまるかは分からないですが。
スペシフィックソース〜ソースに従属するのではなく、自分自身の人生における天命を生きている
トム:それでは、3つ目のコンセプトにいきます。ソースはイニシアティブの外のエッジ(境界)を支えています。他の人達は、全体の中の色んな部分において、自然と責任を担っていくようになります。
その人達のことを「*スペシフィックソース」と呼んでいます。なぜなら、この人達もクリエイティブフィールドの中の特定の部分の「ソース」であるからです。そのため、特定の部分において、これまでに述べてきたソースと同様の役割を持っています。
*スペシフィックソース(Specific Source)
「ソースが始めたイニシアチブに惹きつけられ、魅力を感じた人の中で、ソースの全体的なイニシアチブの中の特定のイニシアチブを、情熱をもって行っている人」のことを意味している。特定のイニシアチブのことを「サブイニシアチブ」と呼ぶ。スペシフィックソースはクリエイティブフィールドの中の特定の部分の「ソース」であるため、特定の部分において、これまでに述べてきたソースと同様の役割を持っている。ただし、スペシフィックソースは、ソースに従属するのではなく、自分自身の人生における天命を生きている。上記について、詳しくは基本編①をご覧ください。
トム:とても大切なこととして、「スペシフィックソースは自分がソースとなる個々のイニシアティブ(サブイニシアティブ)が、全体のイニシアティブのエッジ(境界)の中に入るようにしておく」ということがあります。もし、サブイニシアティブが部分的にエッジ(境界)の外に出ている場合、はみ出ている部分で問題が生じます。
こういう風に、はみ出している部分が出てきた際に、もし、それがスペシフィックソースの人にとって、とても重要なことであったら、はみ出した部分は外で行い、それ以外の部分を中で行うようにします。
あなたが全体のソースではなく、スペシフィックソースの立場である場合でも、あなたは依然として、自分にとっての個人的なビジョンやバリューに忠実であることがとても大切です。
最後に、ソース・プリンシプルの3つのコンセプトのクイックサマリーになります。1つ目がソースの役割。2つ目がクリエイティブフィールド。3つ目がサブイニシアティブ、これはスペシフィックソースのことです。
ソースとしての振舞いを支えるソースコンパスと実践時の4つの振る舞い
史郎:トム、今回も楽しみにしています!
トム:今回のトピックは「自分がソースの役割だと気づいた時に、どうやって素晴らしいソースとして存在していくのか?」というものです。自分がソースの役割であると気づくと、それは結構な大仕事です。ソースであることはフルタイムの仕事に近いのです。
自分がソースの役割であると気づいた時、「ソースコンパス」を(ソースとしての)方向性を見る時のサポートとして使うことが出来ます。「ソースコンパス(資料の図)」は、ソースとしていつも感じている2つの大きなテンションについて、方位磁針のような役割を果たしてくれます。
1つ目のテンションは、横軸で「疑い」と「明確さ」の間のテンションです。なぜなら、あなたがソースであるとき、大半の時間を「何も知らない状態」、つまり、「疑いがある状態」で過ごすからです。その中で、ソースとしてのあなたに「次に何が起きるのか」が明確になってきます。それは「何をあなたのクリエイティブフィールドに入れて、何を外に置くか」ということです。
そして、2つ目の縦軸のテンションは「トップダウンで仕事をしていくこと」と「ボトムアップで仕事をしていく」ことの間のテンションです。なぜなら、ソースは自分のイニシアティブのエッジを守ることが必要だからです。
ただ同時に、ソースに必要なこととして「手放すこと」があります。それは、他の人たちが全体の中の部分について責任を持って行動することを受け入れるということです。
史郎:とても重要なことだと思います。
トム:ソースとしての望ましい振る舞いを、ソースコンパスに追加しました。左上からいくと、何をどうしたらいいのか分からないという状態の時に、あなたがやることの最初のステップはいつも「耳を澄ます」ことです。
「耳を澄ます」のはあなたの内側に対してで、明確にするために次のことを問いかけます。「なぜ、これをするのか?何が必要なのか?何に情熱があるのか?」
同時に外側に対しても耳を澄まします。「世界は今、何を行う必要があると、私に語りかけているのか?また、一緒に働いている人たちは今、何を行う必要があると、私に語りかけてくれているのか?」
これ(プロセス)は反時計回りに行きます。
次の振舞いは「ホスティング」です。あなたが、まだ確信の無い「疑い」の状態にいる時も、ボトムアップの方法で働きたい時にも、これはとても有効です。
ソースはホスティングを通じて「他の人々がアイデアを集めて、実現に向けて活動していくための方法を見つけること」をサポートできます。
ソースにはホスティングをする時に多くのサポートが必要です。ソースは、素晴らしいホスティングやファシリテーションを自分でする必要はなく、サポートをお願いすれば良いのです。
史郎:サポートしてもらうことが大切なんですね。
トム:次の振舞いは「共有」です。
これは他の人々が全体の中の部分を担当するスペシフィックソースになる時に、クリエイティブフィールドを共有するという意味です。
そして、最後に「決断」をします。ソースに必要とされる主な決断は、誰かが新しいプロジェクトを始めたい時に「それがクリエイティブフィールドの中なのか、外なのか」を決めることです。これはソースだけが分かることです。
2つ目の重要な決断は、イニシアティブ全体として「次に何が起きることが大切なのか」、「何がネクストステップなのか」を決めることです。
史郎:トム、ソースコンパスについて、お伝えしてくれて、ありがとう!