今回は、『Work With Source』の著者であるトム・ニクソン氏が「ソース・プリンシプルについてのトムのストーリー」と「ソースの役割とクリエイティブフィールド」について、「JUNKANグローバル探究コミュニティ」に来て、話してくれた内容をまとめています。
トムが実際に話している動画(日本語字幕付き)もありますので、ぜひ、動画の書き起こしの記事と一緒にお楽しみ頂けたらと思います!
トムの動画(日本語字幕付き)はこちら
トムの集約編【その2】の動画(日本語字幕付き)はこちらに、集約編【その3】の動画はこちらになります。ぜひ、記事と共に楽しんで頂けたらと思います。
ソース・プリンシプルについてのトムのストーリー
史郎:トム、今日はありがとう!チェックインをしてもらえたらです^^
トム:今、感じているのは、今日、「JUNKANグローバル探究コミュニティ」の皆さんとお会いして、日本で初めて、ソース・プリンシプルについて、皆さんにお伝えでき、繋がり合えることが幸せですし、とてもワクワクしています。
史郎:僕たちもワクワクしています!
トム:それでは、始めていきます。人間であるということに含まれてくるのは、私たちがそれぞれ自分なりのレンズで世界を見ているということです。今日は「JUNKANグローバル探究コミュニティ」の皆さんに、新しいレンズや世界の見方を紹介します。
このレンズは何十年にもわたる1,000人以上の人との会話から生まれてきたものです。これは、私の師匠であるピーター・カーニックが創ったもので、それを紹介します。
セッション中は、私が今日、皆さんに紹介するレンズを使ってみてと言いますが、実際に私が望んでいることは、皆さんが既に持っているレンズの中に、このレンズを加えてもらうということです。それは、これが一番良いんだとは言っていないということなんですね。
なぜなら、私たちが持っているレンズはどれも、いつかまた別のレンズに取り替えられるものだからです。そのため、常にオープンでいて、これだけが唯一、正しいものであるというドグマには決してしたくないのです。
史郎:とても共感します。
トム:最初に自分のストーリーから始めていきますね。この写真(動画参照)は、11年前に私が自分のつくった会社を離れた時のものなんです。
この会社を10年以上経営していました。世界の中でも参加型経営の会社として、よく知られていました。この会社を辞めた時は、私は自分の責任を次の人に引き継いで、自分の持ち株も売って、さよならパーティもやって、辞める人が当然するようなことをやって、色々旅行することなどもしました。
会社は私が辞めたあとも、約1年程はうまくいっていたが、その後大問題が起こったんです。この先のビジョンがないとか、優れた人達がやめていく、権力闘争、責任のなすりつけ合いが起こりました。
会社がそういう状態になって、財務的にも非常に苦しくなってきました。その時、私は自分が離れた会社だから、外から、私のせいではないと言って眺めていたんですが、実際にそうだったのでしょうか?
「会社の問題は、自分の問題ではなかったのだろうか?」と思い始めた時に、私は今日お伝えする、ソース・プリンシプルのことを紹介してもらいました。自分は会社を辞めたのですが、実はまだ、会社と私との繋がりは切れていなかったのです。
それで、私は会社との繋がりを感じて、戻ることにしたんです。戻って、6ヶ月ほどで、大損していた会社から、また、大成功へと方向転換をしたんです。その後に創造的爆発ということで、会社を分割して、そこから色んなイニシアティブが始まっていきました。
これを私は成功物語で真似すべきものとして言っているのではなく、私はこの経験を通じて、今日お伝えする新しいレンズが明確になってきたということなんです。
ソースの役割とクリエイティブフィールド
トム:今から新しいレンズの紹介に入ります。(本を読まれているということなので)3つのコンセプトの要約を簡単にお伝えして、質問の時間を多く取ります。最初のコンセプトはソースの役割です。
人間が始める様々な活動、何かの会社やイベントを始めるのであれ、そこには必ず1人のピーター・カーニックが言うソースという役割の人間がいます。ソースの役割は自然発生的に生まれるもので、「あなたがソースです」と任命されて生まれるものではありません。その会社、事業に共同創業者が居たとしても、ソースの役割は絶対に1人で誰かと共有していることはないんです。
ソースは、正式の肩書きとか会社の役割というものとは、また別種の役割なんです。ソースは必ずしもリーダーと同じではないんです。もしかすると、リーダーである必要性もあるかもしれませんが。ソースは、リーダーというよりは、私達が実現したい可能性と深く繋がっている主たる聴き役なのです。このように、ソースは1人が持つもので、他は持たないと言うと、平等主義の人からすると嫌な感じがするかもしれません。
もし、自分が1人だけにソースがあるっていうのは嫌だなと思っていたら、嫌だなという感じの上に座っておいて欲しいんです。それが間違っているという意味ではなく、別の見方もあり、今から、それを試してもらうので、それを脇に置いておいてもらえたらと思っています。
人が集まって何かのビジョンを実現しようとする時、私達は通常、組織のことを考え始めると思います。私達は組織のことを、組織構造、プロセス、法律的な主体、株式、非公式な繋がり、信頼などといったものとして考えているかと思います。
よくある組織の解釈として、組織を1つの物体や主体のようなものとして見るようになっていくことがあります。それを広げていくと、組織は目的を持つと思ったり、組織には魂があると言うように、人と分けて捉えるようにもなっていくかと思います。
そういう考え方は、私達に力を与えてくれますし、間違っているという訳ではないです。ただ、時に、不適切に働いて、何か問題を生み出すこともあるため、今日は別の見方を紹介します。
トム:どういう見方へのシフトかというと、組織を目的を持った魂のあるような物体や主体として見るのではなくて、今常に、私たちが組織化しているもの、創りつつあるもの、つまり、プロセスとして、組織を見るということです。
そういう見方に移すと、ビジョンを実現するために、生まれている全ての創意工夫や取り組みが、2つ目のコンセプトである、私が「*クリエイティブフィールド」と呼ぶスペースの中で起きていることが見えてきます。
クリエイティブフィールドには2つの見方があります。1つ目は、私達が立っている地面。様々なことを現実化していくための土台としての地面です。2つ目は、フィールドの重力のようなものです。ビジョンを実現するための人や必要なリソースを惹きつける吸引力のようなものです。
*クリエイティブフィールド (Creative field)
ソースが「心の中にある、世の中にある何かを創造したりや変化をもたらすようなアイデア(ビジョン)」を実現する際に、必要となる人達やその他のリソースが引き寄せられて、集まってくる、つまり、みんなを魅了するようなフィールドのことを、クリエイティブフィールドと呼んでいる。クリエイティブフィールドは、ソースがイニシアチブを始める時に生み出される。お互いに活動を共にし、力(エネルギー)を合わせることで、繋がりや一体感からくる一貫性を生み出す場でもある。
ソースという役割を担っている個人は、クリエイティブフィールドとの間にとても個人的な特別な関係を、ビジョンが実現するまでの間、結びます。これは他の人とは違う関係です。そして、クリエイティブフィールドがどれだけ活き活きとしているかは、ソースと密接に関係しています。ソースの役割が心から、次の人に引き渡されるまでは、今のソースと関係しています。
もし、イニシアティブに組織的、文化的な問題が出てきた場合には、深いところでは、ソースやクリエイティブフィールドに真の原因があるように見えます。ソースは独自の役割で、「何がクリエイティブフィールドの内で、何が外なのか?」、「イニシアティブ全体の次のステップは何か?」について、深く耳を澄ましています。
ソースの役割のもう1つは、クリエイティブフィールドのエッジ(境界)を守ることです。何でも誰でも良いということではなく、実際にこのフィールドで実現していくことを決める時に「これは中で、これは外」とエッジ(境界)を守ることです。
史郎:トム、ありがとう!