循環ホラクラシー

Follow US!

代表の吉原が発信!「組織の進化に関する」最新情報を
取得したい方はこちら

経営の新潮流

ホラクラシー導入6ヵ月後の実践者の声~場とつながりラボ「ホームズビー」~

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

「Natural Organizations Lab 株式会社」共同創業者の吉原史郎は日本初の「*ホラクラシーライセンス プロバイダー」です。
*「ホラクラシー」を開発したHolacracy One社のアセスメントで認定コーチになり、ライセンス契約を結んだ人が、ライセンスプロバイダーとして、「ホラクラシー」に関するサービスを提供することが”法的”に可能となります。

皆さんの中には、「ホラクラシーって何だろう?」、「機械的で冷たいものでは?」、「たくさんのルールを覚えないといけないのでは?」等と感じられている方もいらっしゃると思います。

まず、ホラクラシー(Holacracy)とは、ホラクラシー・ワン社のブライアン・ロバートソン氏とトム・トミソン氏が2007年に開発した、組織経営の新しい方法です。組織経営の目的・構造・運営面について、再現可能性の高い約束事を提示していることが特徴になります。

ホラクラシーは、実務的に活用する場合、全メンバーが全てのルール(約束事)を覚えて取り組む必要はなく、外部のホラクラシー実践者や内部の詳しい方と共に、ステップごとに体験しながら、無理なく体得していくことが可能です。

また、ホラクラシーとは、一言で言いますと、「組織目的を実現するために、現場での小さな声(アイデアや不安・不満含めた全ての声)が循環し続けることを可能にする仕組み」になります。

そのため、現場の全てのメンバーの小さな声(アイデアや不安・不満含めた全ての声)が自然と循環し続けるための独自の工夫が随所に散りばめられており、相手のニーズに寄り添ったコミュニケーションを誰もが組織内で取ることが経験を経て、次第に可能となっていきます

本記事では、本メディアの運営会社であるNatural Organizations Labが、海外のホラクラシー組織での取り組み経験自社での知見をもとに、ホラクラシーの実施において実行支援をしている、場とつながりラボ「home’s vi(以下、ホームズビー)」の皆さんに、ホラクラシー導入から半年経った今、現場で感じているリアルな声をお聞かせ頂いています。


ホームズビーの皆さんには、事前にホラクラシーの約束事を、全て覚えてもらうことはなく、肝となる部分のみお伝えして、後はホラクラシーを実践しながら、1つずつ、経験と振り返りを通じて体得して頂いて、今に至っています。

ホラクラシー導入によって、メンバーの皆さんの仕事の仕方や、組織全体の捉え方・感じ方に、どんな変化が生まれてきているのか?ぜひ、具体的な声をもとに感じて頂き、実務のご参考にして頂ければ幸いです。

尚、ホラクラシー組織とは、フレデリック・ラルー氏の著書「Reinventing Organizations」(邦訳:ティール組織(英治出版)))によると、ティール組織の一つの具体的な形態であり、そのため、ティール組織の特徴である「社長や上司がマイクロマネジメントによる過剰な介入をしなくても組織の目的実現に向けて、進むことが出来ている独自の工夫に溢れた組織」を体現している組織となります。

ホラクラシー組織については、こちらの記事を、ティール組織については、こちらの記事に記載していますので、基本的な概念については、記事の方を合わせてご参照下さい

目次)
1 ホームズビーとは
2 ホラクラシー導入前のホームズビーの特徴
3 ホラクラシーの導入経緯とプロセス
4 ホラクラシー導入により生まれている変化
5 ティール組織というレンズから見る小さな変化
5-1 進化する組織の目的
5-2 自主運営の仕組み
5-3 全体性(個人としての全体性の発揮)
6 まとめ

1  ホームズビーとは

ホームズビーとは、場づくりの専門集団で、それぞれの個性が最大限発揮できる集団や社会のあり方を研究し、実践しているNPO法人です。

創業が2008年で先端の場づくりの実践研究に特化し、2008年には「京都市未来まちづくり100人委員会」の事業を受託。OST(オープンスペーステクノロジー)等の組織開発手法を応用し、先端のアプローチを社会に広めていきました。

加えて、民間企業への組織開発分野でのファシリテーションも実施し、大企業からベンチャー中堅企業に至るまで、幅広い支持を集めています。

代表の嘉村賢州さんが2016年に1年間のサバティカル休暇を取られた際に、新たな組織である、「ティール組織」のコンセプトに出会いました。

以降、新たな組織の研究開発に加えて、自組織(ホームズビー)においても、実践を進めていました。その中で、2017年から、自主運営の方法であるホラクラシーの導入を進めています。

導入に際しては、ホラクラシーの導入を自社(NOL)で進めていた執筆者の方で、要所をサポートするスタイルで進めています。

2  ホラクラシー導入前のホームズビーの特徴

創業以来、場づくりに特化した専門領域を実践研究していくホームズビーでは、プロフェッショナルとしての質を高めていきながら、組織運営の形態は、かなり自由で指示命令系統の無いスタイルで進めていました。

執筆者も昔から知っていますが、本当に自由で、指示命令のない、家族のような関係性を持っていると感じていました。このことは、代表の嘉村さんの「個性と個性が出逢い、化学反応を起こし今まで想像もしなかった価値や文化が生まれる社会を創りたい」という思いも背景にあるかと感じています。

この思いをもとに、とても家族的で仲の良い組織運営を進めているのがホームズビーであり、「お互いを信じる」という、温かい願いに溢れている組織であると感じます。

3  ホラクラシーの導入経緯とプロセス

3-1 導入経緯

代表の嘉村さんにホラクラシー導入の経緯をお聞きしました。「これまでは、(フレデリック・ラルー氏の書籍に記載されている)グリーン段階の組織に特有の罠にはまっていたと感じていた。ホームズビーは、とてもメンバー間の仲が良く、全てのことをみんなで話し合うスタイルになっていた。

すると、何か新しいことをやろうとしたけど、「聞いていない」という声が出るため、やることを躊躇したり、始めたい人も、みんなに伝えていないので、何かを始めるのも「申し訳ない」という気持ちがあった。

このことが、新しいことを始める上での日々の鈍さに繋がっていた。付随して、メンバーの中に、新しいことを引き受けにくいアレルギーもあった。特定のルールを決めないまま進めるのは美しいと感じる一方で、仕事の上では、機能していない部分があった。こういったことの解決に向けて、ホラクラシーをまずは試しに、トライしてみようと思った」

このような経緯があり、ホームズビーが持っている家族的な温かさや「お互いを信頼している」等のホームズビーらしさをそのままに、優しさから生まれる遠慮等も、小さな声として出して頂きながら、そもそもの組織の目的や構造面(役割)、運営面(具体的な仕事の運営)における透明化を進めていくことで、解決に向けて動き出していくことになりました。

ホラクラシーとは、仕事上の目的・構造・運営上の課題を解決するための手段であり、ホームズビーがそもそも有している組織としての特徴(組織文化)を土台とすることが大切です。

3-2 導入プロセス

ホームズビーでは、当然、現業が走っていますので、現業に沿って、役割(ロール)を整理することから始めていきました。役割(ロール)とは、組織目的を実現するために必要となる、一定の仕事の集合で、例えば、営業や企画、経理等を指しています。詳細はこちらのレポートの4章をご参照下さい。ホラクラシーでは、構造面(役割面)の整理を最初に行っていきます。

①役割(ロール)の整理
・付箋で現状の役割や仕事を全て書き出す
・整理して、初期のロールを作成
②構造に関するミーティング(ガバナンスミーティング)
・役割(ロール)をホラクラシー専用のシステム(グラスフロッグ)に入力
・ロールの内容の加筆修正を実施

③ロールごとに、具体的なプロジェクト等を記載
・プロジェクト、チェックリスト、重要指標の入力
④運営に関するミーティング(タクティカルミーティング)
運営面でのベクトル合わせのミーティング
・ロールとロールのコミュニケーション
・メンバーの小さな声(アイデア、依頼等)に寄り添う


⑤内部ファシリテーターとセクレタリーの育成
・ファシリテーター:ミーティングのレフェリー的存在
・セクレタリー:ミーティングの開催日時案内、ミーティングの記録等
⑥ミーティングの継続実施
・タクティカルミーティング(運営面のベクトル合わせの会議)は毎週1h程度
・ガバナンスミーティング(構造面=役割の新規作成や見直し等の会議)は毎月1回開催

4  ホラクラシー導入により生まれている変化

ホラクラシー導入によって、代表の嘉村さんは、社内上は、代表ではなく、「リードリンク」という1つの役割になりました。リードリンクとは、簡単に言いますと、「組織目的を実現するための必要な環境を整える」役割となります。嘉村さんは、リードリンクという役割(ロール)以外にも、能力や時間等を考慮し、複数の役割(ロール)を担当しています。

嘉村さんに、導入後の小さな変化をお聞きした所、「これまではみんなのことは信じているけど、どこかバラバラで、組織全体を誰が見ているのか?という不安もあったが、導入後は、みんながどこに邁進しているかが分かるので安心感があります。また、メンバーがどういう状態かも分かり、組織の全体性も分かりやすくなっています」とおっしゃっていました。

これは、ホラクラシーの仕組みの中で、どのメンバーがどんな役割(ロール)を担当しているかが、リアルタイムで、グラスフロッグというシステムを見て分かるようになっていることが背景にあります。ロールには、営業や企画等、あらゆる仕事上、必要な役割が該当します。

「今、どんな役割(ロール)や仕事が組織にあるのか?」
「今、誰がどんな仕事を担当しているのか?」

これらの構造的な側面が透明化されており、誰もが自由に見ることができるため、構造的な要因による、仕事上のストレスが自然と減少していきます。

また、ホラクラシーにおいては、新たなロール(役割)を作ることや、既存のロールを変更する等の、構造的な変更について、どのメンバーも参画して、小さな声を発信し、提案することが可能になっています。そのため、誰もが、組織の目的実現に向けて、必要だと思ったことを提案し、現実化できる機会を持っています(具体的な声は後述します)

次章からは、ティール組織の3つのブレークスルーに沿って、お聞きした小さな変化を記載しています。

5  ティール組織というレンズから見る小さな変化

ティール組織の以下の3つのブレークスルーから見ると、このように見えたということを記載しています。ティール組織の理解を深める参考としても読んでもらえたらと思います。

①進化する組織の目的
②自主運営の仕組み
③全体性(個人としての全体性の発揮)

5-1 進化する組織の目的


ホラクラシーの導入においては、進化する(組織の)目的を定めることから始まっていきます。ホームズビーさんでは、今回の一連の取り組みの中で、進化する組織の目的を全員で話し合い、以下の目的を設定されています。

「未来のあたり前を今ここに」

進化する組織の目的があることで、どんな変化をメンバーは感じているのでしょうか?メンバーの皆さまからは、以下の声をお聞きしました。

「漠然とした理念はあったが明示化はしていなかった。今は明示されていて、全てはそこに向かっている状態が今ある。とても動きやすいと感じました」

「目的に沿った組織の動き方や個人個人の動き方を意識できるようになるためのきっかけのような機会、変革だったと思います」

日々の仕事が、組織の目的に繋がっていることを具体的に感じることができていることが伝わってきました。


「未来のあたり前を今ここにという言葉が生まれてから、組織の目的は立ち返るところになった」

「未来の当たり前にしたいなぁという取り組み!や未来の当たり前ってなんだろう?と考えるようになった」

組織の目的をメンバーの中で、自然に問うことが出来ていることが分かり、メンバーの方が、組織の目的に共鳴している状態を感じました。

さらに、ホラクラシーにおいては、組織の目的を実現するための全ての役割(ロール)についても、ロールの個別の目的を設定しています。

つまり、全ての役割が、組織の目的と繋がっている構造を実現しており、仕事の意味に立ち返りやすい仕組みになっています。

また、組織の目的実現に向けた役割(ロール)を、誰もが提案することができることも、組織の目的が、固定的で誰も見ないものにならないための工夫となっています。

次節では、ホラクラシーについて、自主運営の仕組みから、メンバーが感じていることを記載しています

5-2 自主運営の仕組み


組織の目的実現に向けた役割を、各メンバーが実行していく中で、感じている声を以下に記載しています。

組織の全体が見えるようになった(構造面と運営面)

「ホームズビーが全体として何をしているのかが分かりにくい部分があったが、ホラクラシー導入によって、全体像が分かりやすくなり、明確になって動きやすくなった

ホラクラシーでは、組織の目的実現のための役割(ロール)が視覚的に分かるようになっているため、構造面での情報の透明化が可能になっています。ホームズビーの組織構造は、グラスフロッグという専用のツールを使って、メンバーが誰でもいつでも見ることができるようになっています。

「ホラクラシー導入前は、誰がどういう風に動いているのか?組織の仕組みとしてどうなっているのかが良く分からなかった。つまり、誰が何を担っているのかが分からなかったし、自分達も分からないままにしていた

今は、グラスフロッグを見るだけで、他のロールがしていることがよく分かるし、見える化されている。また、役割が重複しているところや、出来ていない部分を明確化することもできる

グラスフロッグでは、構造に加えて、特定の役割(ロール)が実施している仕事の内容や優先順位も透明化によって、誰もが見ることが可能になっています。


②情報を等しく持てるようになるため、
個人に依存せずに、自然と全体観が芽生えてくる

「ロールの仕事内容(アカウンタビリティ)が明確になっているし、仕事の優先順位も見える状態になっている。情報の差がなくなってきていて、システムとして個人に依らない状態になっている」

「これまでは、広く見えている人は広く動けた。個人に委ねられていたし、経験によって視点が変わってきていた。今は経験に関係無く役割や仕事の内容を(グラスフロッグで)見ることができるため、皆が同じように全体観を持ってきている」

全メンバーに等しく、構造面(ロール)と運営面(ロールの仕事内容)の情報がグラスフロッグを通じて透明化されているため、毎日仕事を始める際に、グラスフロッグを開けることで、日々の積み重ねを通じて、自然と全体観を養うことが可能になっています。

言い方を変えると、全体観を育むトレーニングを、日々の実務を通じて行うことができることになります。各メンバーが組織の全体観を育むことができることは、実は、自主経営を進めていく上での大切な土台となります。

③承認が不要な自主運営プロセスの存在と意識段階の進化

「仕事の内容が思ったように進んでいない場合にも、すみませんと言わなくていい罪悪感を持たずに仕事ができる

余計なことを考えなくてすむ。シンプルに考えられる。良いなぁと思った。いろんなロール(役割)を持ちたいなぁ。もっと貢献したいなぁ。貢献するためにどうしたらいいかが明確

「ロール(役割)が明確じゃないのかなと思うようになったし、そのことをホラクラシーのミーティングで挙げられるし、しっかりと安心安全の場で聞いてもらうことが出来ている

ホラクラシーでは、各ロールの仕事の内容の重点ポイントを毎週共有化するミーティングが1時間あります。そこでの共有においては、各ロールが現状を知り、ベクトルを合わせることを大切にしています。ベクトルを合わせて、具体的な打ち合わせはミーティング後に実施します。

他のロールから、あるロールに必要だと思った情報やアドバイスをすることは可能ですが、各ロールの目的に応じて、各ロールが自主決定をしていきます。環境を整えるリードリンクも1つのロールとして、各ロールの自主決定をサポートしていきます。

そのため、進捗が思ったより少なくても、例えば他のメンバー(以前の上司等)に謝罪する必要は無く、他のメンバーも指示命令することは出来ません。つまり、各ロールが目的実現に向けて、伸びしろを感じ、次のアクションに活かしていくことを大切にしています。

このような、承認が不要な意思決定プロセスに、サポートを得ながら、少しずつ慣れていくことが、ホラクラシーを運営していく上での土台となっています。慣れていくことで、自然と意識段階における変化が可能となります。

導入初期においては、ミーティングの機会を通じて体得を進めていきます。また、日常の仕事のやり取りにおいても、常に上記を意識して取り組んでいくことが大切になってきます。

次節、3つ目のブレークスルーの全体性(個人としての全体性の発揮)においては、ホラクラシーという自主運営の仕組みを支える、安心安全な器づくりがポイントとなってきます。以下では、この視点で生まれている小さな変化を記載しています。

5-3 全体性(個人としての全体性の発揮)


ホラクラシーにおいては、自主運営の仕組みの中で、誰もがロールを提案でき、様々なロールへのチャレンジも可能になっています。そのため、提案やチャレンジを支えるための、安心安全な器が不可欠となります。不安が多すぎると、提案もチャレンジも出来なくなってくるためです。

■個人のチャレンジを可能にする安心安全な器

「ガバナンスミーティング(役割を作ったり見直す会議)で新しいロール(役割)を提案し、無事にロールを作れた。大切にしていたことで貢献したいと思った。定まったプロセスの中で、絶対に否定されないという安心感があったし、メンバーがフィードバックをかえしてくれる。結果、自分の中での種火がロールになり、新しいロールが熱を持って生まれてきた

ホラクラシーにおいては、新しいロールを作るための構造面のミーティング(ガバナンスミーティング)が毎月あります。ミーティングでは、提案者のニーズに寄り添いながら、ロールを生み出していくための具体的なプロセスがあります。

このプロセスの要点は、提案者のニーズに寄り添いながら、他のメンバーの意見を重要な情報として、提案者が聴き、理解し、考える機会を作り、最終的には、組織への明確な損害や損失が生まれない限り、まずは、やってみようという発想を土台にしていることがあります。

以下のメンバーのコメントも、このプロセスに繋がる素晴らしいエピソードです。

「ミーティングでは、不完全で、これで大丈夫かな?という提案を伝えても大丈夫でした。提案者が何か出したら、メンバーは見守ってくれていて、もし、プロセスに無い形で誰かが横から意見や反論をすると、ファシリテーターがレフェリーのように静止してくれる。

その上で、プロセスに沿って、別の視点を聞くことができ、プロセスを通じて、考えを最初のものから磨いていくことが出来た。今までは声が大きく、経験年数や影響力の高い人の声に心を動かされていた。すると、だんだん、主体性がなくなっていったが、そういったことがなく、むしろ、経験豊富な人も一緒にやっていく雰囲気にある。

ミーティングのやり方に慣れてくれば、これまでの関係を、より良い形に編みなおすことができる。ロールの提案をした時に、守ってもらえたな!という感覚があった。他のメンバーの提案についても、しっかりと聞いてみようと思った」

ミーティングのプロセスを通じて、ロールが自主決定していくことに慣れていくことが分かります。また、他のメンバーの提案も同様に尊重していくことも分かります。

このように、ホラクラシーでは、メンバーの声(提案や不安等)に寄り添い、各ロールが目的を実現できるように互いに支援し合うプロセスを大切にしています。

6  まとめ

以上、ホームズビーでのホラクラシーの導入後の今を、メンバーの皆さまにお聴きした「小さな変化」をベースに、お伝えしました。

ホームズビーでは、現在、リードリンクの嘉村さんの覚悟を持った決断のもと、自主運営の段階に入っており、組織内では、社内ファシリテーター(ミーティングのレフェリー)と社内セクレタリー(ミーティングの開催案内と記録等)の役割を特定のメンバーが担当しています。

リードリンクの嘉村さんも、「セクレタリーとファシリテーターが社内にいるので、ミーティングが安定的に開催することが出来ている」とおっしゃっています。実際にファシリテーターの大森さんとセクレタリーの山本さんにもお話を聴いてみました。

大森さん(社内ファシリテーター)
「ファシリテーターはプロセスを守るレフェリーメンバーからの意見や提案、依頼等の声(ホラクラシーでは、「テンション」と呼ぶ)に寄り添いながら、そのテンションがどのロールから生まれてきているのか、何を必要としているのかを考えながら、1つ1つのテンションに向き合っています

ファシリテーターが1人で頑張ることを手放し、メンバーそれぞれが学び、体得していくことを支援することが大切だと思っています」

山本さん(社内セクレタリー)
「定期的なミーティングを開催することはできると思い、引き受けました。グラスフロッグで役割や仕事が見ることができるようになると、長く働いているメンバー同士においても、更なる共通理解ができていく感覚があった。これは本当に進めていく上で良いと思った。セクレタリーをしながら、ついてこられないメンバーを意識していたため、場を見る力が養われていったことを感じている」(セクレタリーはミーティング上にグラスフロッグを操作するため、自然と全てのロールを理解していくようになっていきます

また、ホームズビーでは京都をベースとしながら、東京や沖縄を拠点に仕事をしているメンバーもいましたが、「東京や沖縄にあっても、ホラクラシーを活用することで、他拠点で自分らしく働けるようになっている」という声もありました。情報の透明化、小さな声が循環するプロセス等によって、可能になっていると感じています。

さらに、この春から新しくホームズビーに加わったメンバーは、家庭での育児や介護施設でのお仕事もしながら、縁あって週2.5日程度、ホームズビーに加わり、ホラクラシーのミーティングの様子を見学することから始めました。

ミーティングの中で、「提案者に対しての経験年数に関係なく、みんなが寄り添っていた」ことがとても印象的だったとおっしゃっていました。

その後、新メンバーの方も、ご自身が兼ねてから想いを持っていたロールを提案し、メンバーから共感や励ましをもらう中で、提案が確信に変わり、「ホールネスロール」(全体性を大切にする役割で、メンバーや家族で味噌づくりを行う社内イベント等を実施するロール)を生み出していきました。

「提案したホールネスロールについて、自分の中で想いがあって燃えていても、それをロールとして、仕事として、提案してもいいものか?正直、不安があった。ただ、メンバーからアドバイスをもらって提案プロセスを経ていく中で、この提案は自信を持って、ロールとして、仕事としてやっていっていいんだ!という風に感じました。みんなから、薪をくべてもらった感じです。このプロセスを経て、自分が、ホームズビーの中で、ありのままの自分で居られることを感じワクワク感充実感をベースに仕事ができています」とおっしゃっていました。

新しいメンバーのありのままの想いや潜在能力が、ホームズビーの中で、スムーズに発揮されていることが分かります。


今後も、多様な働き方が可能なホームズビーには、多様な人が自然と集ってくるだろうと感じています。ホームズビー自体の進化する目的である「未来のあたり前を今ここに」を実現するため、それぞれの個性が最大限発揮できる集団や社会のあり方を研究し、自ら実践していく中で、

ホームズビーから社会に、多様なアイデアが生み出され、「未来のあたり前を今ここに実現していく」循環を生み出してくれる予感がしています。まさに、いのちが繋がり合ういのちが循環するプロセスだと感じています。執筆者も1人のホームズビーファンとして、心から応援しています。

それでは、Part1「ホラクラシー導入から半年で生まれている変化」は以上になります。読んで頂いた皆さまにとって、ホラクラシー導入により生まれている、とても人間的で温かな変化を感じて頂ければ幸いです。

次回、Part2はさらに半年後、更なる変化を遂げて、進化しているホームズビーを通じて、新たな組織経営へのチャレンジにおいて、皆さまのご参考になればと思っています。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

コメントを残す

*

吉原史郎初の著書が発売になりました!