ソース・プリンプル(ソース原理)~ティール組織への『共感点』と『ユニークさ(異なるところ)』~
今回はソース・プリンシプルの視点で見た場合の「ティール組織への”共感点”と”ユニークさ(異なるところ)”」についての、トムとの対話サマリー(個別&JUNKANコミュニティ向け)になります。トムが以前、フレデリックと対話をした時を回想しながら、話をしてくれました。
『共感点』の対話
史郎:「トム、フレデリックとの対話をした時を回想してもらいながらなのだけど、フレデリックやティール組織とのブリッジ、つまり『共感するところ』と、ユニークさ、つまり『異なるところ』はどこなのかな?まずは『ブリッジ、共感するところ』から聴かせて下さい」
トム:「そもそも私がこの3週間、みんなと一緒に日本で過ごすことができたのも、まず、フレデリックの仕事があって、そのご縁から、こうやって繋がっているわけで、フレデリックがあの仕事をやってくれてなかったら、ここに僕がいることもなかったと思っています。だから、僕はとても、フレデリックに感謝をしているんだ」
トム:「(フレデリックとの対話を通じて)僕とフレデリックさんが土台として共通に持っているのは、視野を広げて、グローバルな人類の繋がり、全人類という視点に立ってみると、人類というものに1つのソースはなくて、人類とは、非集中的で分散的なものであり、『人類のどこかに中心があるとは見ていない』ということなんだ」
史郎:「組織という視点ではなく、全人類としいう視点に広がっていったのだね!」
トム:「そうなんだ。この視点で見ると、“誰もがソースである”人類のグローバルな繋がりの中で、誰もが”ソースである素質がある”ため、他の人が自分のクリエイティブフィールドに魅力を感じて、サブソースとして、一緒に活動をしてサポートしてくれることもあるし、あるいは、他の人がソースであるクリエイティブフィールドに、自分が魅力を感じて、サブソースとしてサポートすることもできるんだ」
史郎:「本当にその通りだと感じます」
トム:「このことはとてもパワフルなんだ。なぜなら、もし私達が組織に1人のソースしかいないと見てしまうと(サブソースを真に受容していない & 誰もがソースであるという意識が低い状態)、たった1人の人だけがソースの役割(ソース役)を担うという、とても乏しい感じになってしまうんだ」
トム:「なぜなら、”誰もがソースである素質がある”にも関わらず、1人だけが特別なソースであると見てしまうと、“誰もがソースである”という可能性が乏しいものになってしまうからなんだ。人類は誰もがソース(サブソース含む)として、お互いに繋がり合い、サポートし合える関係であるという視点はとても潜在力が高いと思っているよ」
史郎:「とても共感するよ」
トム:「実際、『Reinventing Organizations(組織の再発明)(邦訳:ティール組織)』の中で、紹介されている実践の方法や事例は、ソースと共に生きている人達にとって、本当に豊かなインスピレーションを与えてくれていると感じているよ。いっぱい同意するところがあって、学ぶところがあって、セルフマネジメント(自主経営)とホールネス(全体性)というところは、”まさにその通り”と思っているんだ」
史郎:「トム、ありがとう!」
『ユニークさ(異なるところ)』の対話
史郎:「次は、トムが考える、それぞれの “ユニークさ(異なるところ)”について聴かせて下さい」
トム:「フレデリックさんがソースのことについて語っている所を、よく聞いたりもするのだけど、大抵はちゃんと正しく言ってくれているのだけど、異なっていると思うのは、組織自体がパーパスを持っていて、組織のエボリューショナリーパーパス(邦訳:組織の存在目的)を、『ソース(ソース役)がチャネリングして聴き取っている』という言い方をする時があるんだ」
トム:「『ソース(ソース役)がチャネリングして、組織のパーパスを聴き取っている』ということは依然として、”組織という視点”で捉えているため、ソース・プリンシプル(ソース原理)の創設者のピーターや僕が考えているソース・プリンシプルとは、違ったものと考えているよ」
史郎:「なるほど。ソース・プリンシプルをソース・プリンシプル足らしめている根幹が、そこにありそうだね」
トム:「ティール組織の視点とソース・プリンシプル(ソース原理)の分かれ道というか、異なる点がどこかと言うと、ティール組織の方では “組織自体が生きている主体のようなもの” として、”組織がエボリューショナリーパーパス(邦訳:存在目的)”をもった存在のように扱うところなんだ。ところが、ソース・プリンシプルでは、そんな風に思うこと自体が幻想なんだという風に考えているんだ」(補足:組織のパーパスは、個人のパーパスが投影されたものと捉えているため)
トム:「ソース・プリンシプルの視点では、”イニシアティブを最初に始めた1人の個人であるソースが、イニシアティブのエッジ(境界)を維持し、支えていく”と見るのに対して、ティール組織の視点では、”関わっているみんなが自発的に役割をつくり、活動し、組織のエボリューショナリーパーパス(邦訳:組織の存在目的)を感じ取って、対応していく(Sense & Respond)”と見ている点が異なるところだと思う」
史郎:「興味深いです」
トム:「もちろん、大切な点として、僕たちも、(ソースの)ビジョンや(ソースの)パーパスが時を経て、どんどん進化して、変化していきながら、ソースと共にイニシアティブが、うまく進んでいくことは分かっているんだ。この点については共通しているね」(補足:エボリューショナリーの質感は同じ)
トム:「さらに、“創設者だけが、すべてのアイデアを有しているビジョナリーな存在であるわけではない”とも考えているんだ。なぜなら、多くの場面で、“素晴らしいアイデアを持っているサブソース(スペシフィックソース)が(ソースの)クリエイティブフィールドがより育っていくためにサポートをしている”からなんだ」
史郎:「なるほど。組織という視点ではなく、組織を越えている視点で見ていることが異なっていて、”集合知の力”は認めている感じだね」
トム:「もちろんさ!お互いのパーパスやビジョンを明確にして、実現をサポートしていく“集合知の力”を否定しているのでは全くないんだ。わたし達人間は、お互いのビジョンを明確にするために助け合ったり、相互に貢献し合う関係にあるからなんだ」
トム:「ただ、たとえ、周りの人達が色々と聞いてくれたり、色々と提案してくれたとしても、最終的に、“わたしの情熱はこれだ!これが私のやりたいことなんだ!”って純粋に知ることができるのは、唯一、本人しか居ない訳でもあるんだ。そのため、集合知の視点に耳を傾けながらも、同時に、個人の視点にも戻ってくることがとても大切だと思っているんだよ」
史郎:「トム、ありがとう!理解が深まりました」
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『共感点』の対話は僕にとっては、とても心が温まるものでした。それは、フレデリックとトムという、僕にとって大切な方達が、同じ夢を見ることができていることを、トムから聞くことができたからでした。トムの、相手へのリスペクトと共に、ブリッジとなる共感点を創る姿勢は、彼の人柄が現れていると感じました。とても学びになりました。
『ユニークさ(異なるところ)』の対話は僕にとって、組織という考え方を改めて振り返りながら、新しいレンズを試してみるような新鮮な経験でした。トムの言葉をかりると、「組織という考え方を越えて(Beyond Organizational thinking)、創造的秩序(Creative Order)に沿って、創造性が実現されていく流れ(Process)をオーガナイジング(Organizing)」と呼んでいることにも共感しました。
また、トムが言う「創造的秩序(Creative Order)」という言葉は、今西錦司さんの「有機的統合作用の持続がすなわち生命の持続」、福岡伸一さんの「生命とは動的平衡にある流れ」という見解、更には、西田幾多郎さん、ヘラクレイトスさんとも通じているように感じ、とても興味深かったです。